2017年10月1日日曜日

ソーシャルレンディングは怪しい? 投資型クラウドファンディングの法規制

  株式投資型クラウドファンディングとは、新規・成長企業へのリスクマネーの円滑な供給に資することを目的として、金融商品取引法等の改正及び本協会の自主規制規則の整備により、2015年(平成27年)5月に創設された非上場株式の発行を通じた資金調達を行うための制度です。

 クラウドファンディングは、様々な枠組みを用いて行われており、寄付型(寄付として資金を提供するのみ。)、購入型(製品・サービスを受け取る。)、投資型(株式やファンドを取得する。)等があります。この中で投資家の運用資産の投資に適している「投資型クラウドファンディング」に投資する場合の法律規制・問題点はどのようになっているのでしょうか?

 投資型クラウドファンディングでは、金融商品を取り扱うため、金融商品取引法の規制対象です(金融商品を勧誘するためには金融商品取引業者として登録を受ける必要があります。)。また、投資型のうち非上場の株式に係るもの(=株式投資型クラウドファンディング)は、本協会の自主規制の対象です。株式投資型クラウドファンディングは法令や自主規制規則により次のような規制があることが特徴です。 なお、株式投資型クラウドファンディングを行う金融商品取引業者(以下、クラウドファンディング業者といいます。)として登録を受け、本協会に加入している証券会社(会員)及び株式投資型クラウドファンディング専業業者(特定業務会員)における各社の取扱いは、取扱要領において定められ、そのウェブサイトにおいて公表されます。


融資型(ソーシャルレンディング)事業者の法規制


 投資型のクラウドファンディングサイトを運営する業者について、適用される法律・規制を見ていきたいと思います。この場合、クラウドファンディング業者は、金商法に基づく「第2種金融商品取引業の登録」が必要となります。

 「第2種金融商品取引業」とは、資金(ファンド)の販売や調達の勧誘行為をする業務を行う事業です。この点、投資型のクラウドファンディング業者は、プロジェクト実施者である企業のために、クラウドファンディングサイトというプラットフォームを設置することを通じて、投資家に対して、資金(ファンド)の調達を勧誘していることから、「第2種金融商品取引業」に該当することになります。

 「第2種金融商品取引業」の業務を行うためには、「第2種金融商品取引業の登録」が必要なのですが、この登録を受けるためには、ベンチャー企業からみて厳しい条件が求められます。
 例えば、会社の資本金が、原則として1000万円以上であることや、投資家を保護するために十分な人的・物的管理体制がその会社に備わっていることが必要で、サイトを立ち上げたい企業からするとハードルが高いものになっています。


投資型(ファンド型)事業者の法規制


クラウドファンデング事業者が投資型(ファンド型)により投資家から資金調達を行う場合は資金調達を仲介することになるので金融商品取引法に基づき第2種金融商品取引業の登録が必要となります。

 具体的には、投資型における資金の提供は、各タイプの概要でも述べたとおり組合契約の締結により行われることが多く、この組合契約に基づく資金の提供(=出資)は、「集団投資スキーム持分」という金融商品取引法の規制対象である有価証券の一種に該当します。そして、この集団投資スキーム持分の資金提供者を集めたり、それを仲介するためには、第2種金融商品取引業の登録が必要となっています。

 さらに、無登録で「第2種金融商品取引業」を行った場合、最大5年の懲役という刑罰が下されます。


株式型事業者の法規制


 株式型を運営するクラウドファンデング事業者は上記の投資型(ファンド型)と比べグッと少なくなります。これは資金調達者が投資家さんと直接やりとりすることになるため事業としてなり立たないことが考えられます。投資型(ファンド型)のように匿名組合契約で多数の投資家さんから資金を集めるとことができないという点も挙げられます。これを事業とする場合は1回に投資できる金額が数千万円単位の特定の大型投資家や富裕層などをターゲットとしています。

 株式型を運営する場合は投資対象にもよりますが、「第2種金融商品取引業」とは別に「第1種金融商品取引業」の登録が必要です。。「第1種金融商品取引業」とは、証券会社やFX業者が行っている「有価証券の販売・勧誘をする業務や、顧客資産の管理をする業務」を意味します。

 「第1種金融商品取引業」と「第2種金融商品取引業」との違いは、販売・勧誘の「対象となる物」について、第1種が、株式などを販売・勧誘するのに対して、第2種は、資金(ファンド)の販売・勧誘行為をしている点です。

 融資型(ソーシャルレンディング)、投資型(ファンド型)の金融商品に投資する場合は第2種金融商品取引業の登録があるという点が重要です。皆さんが投資するクラウドファンディング事業者は第2種金融商品取引業の登録ができているでしょうか?

 第2種金融商品取引業の登録は投資家さんを守ることにも繋がります。事業者は仮に登録を受けられてたとしても、金融庁の管理下に置かれて、さまざまな規制を受けることになるため、アグレッシブな活動が難しくなるデメリットがあります。

 加えて、金商法という法律のみならず、第2種金融商品取引業界が作ったガイドラインによる規制を守る必要があるため、身動きがとりずらくなるデメリットがあります。

こういった規制の厳しさや、事業者にとってのデメリットが多いことから、事業者の派手で極端な行動を制限することで投資家保護が図られていると観ることができます。これが基本的に法令の規制を受けない「購入型」「寄付型」よりも安全性が高いと考えられるポイントです。


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